研究
2021.7.19
「遊び」で世界中の人々を結びつけ活躍する、 未来のクリエイターを育てます
教員プロフィール
よしざわ?ひでお
1960年神奈川県横浜市生まれ。テクモで『マイティボンジャック』 『忍者龍剣伝』等のディレクターを務めたのち1992年ナムコに入社。『風のクロノア door to phantomile』等のディレクター、『ミスタードリラー』等のプロデューサーを務める。2016年4月、バンダイナムコスタジオを退職、講師、フリークリエイターに転進。2020年4月から現職。著書に「ゲームプランナー集中講座」がある。
「遊び」に秘められた計り知れないパワーを信じて、 「やりたくない」を「ぜひやりたい」に変えていく
駅などで見かける、階段と並ぶ上りエスカレーター。ありふれた風景ですが階段をピアノの鍵盤に見立てた「ピアノ階段」という試みがあり日本でも話題になりました。一段ずつ音階になっていて、歩くと音が出る階段です。これを設置すると、普段、エスカレーターを利用している人も階段昇降が苦手な人も、興味深くゆっくり階段を上がり始めたのです。
このように、世の中には年齢や性別、職業に関わらず「やらなくてはならない」「やりたくない」ことがたくさん存在します。それらに「遊びのちから」を注入すると「やってみたい」「ぜひやりたい」ことに変えることができるのではないか?と考え、研究室では「遊びのちから」をテーマに、「日常の問題を、遊びによって解決する」新しいゲームのプランニング、制作を行っています。
社会の課題を解決する鍵をみつけて、 日常に「遊び」をちりばめていく
ゲームを含んだ「遊び」には、人を楽しませるだけでなく、世界の人々を結びつけ、笑顔にし、平和にする力をも秘めていると思うのです。「遊びのちから」は、現代社会が抱える問題にも少なからず貢献できるのではないでしょうか。
たとえば現在、研究室で制作中のゲーム「Hoppin‘ Hopper」は、トランポリン型コントローラーを使ったジャンプアクションゲーム。運動が苦手な人もゲームを進めるために思わず楽しく身体を動かすことで運動不足を解消していきます。「街歩きお絵描きアドベンチャー「謎テク」」は、予告状を受け取ったらナビを頼りに実際に徒歩で街なかを移動し、ポイントで謎解きをしながらストーリーを読んでいきます。街を探索しながらゴールすると歩いたルートに絵が浮かび上がり、予告状と組み合わせれば答えが現れるというゲームで、コミュニケーションとウォーキングが楽しみながら実体験できます。日常の悩み事の解決にゲームが役立ってくれる時代はもう始まっています。
ゲーム創りに必要な人材は「人を楽しませるのが好きな人」。 一緒に、まだこの世界に存在しない「遊び」を創り出していこう
研究室では、「一人のスキルより全員で出すアイディア、一人の天才より10人の協同を大切に」を基本にプロジェクトメンバー全員で協力しながら進めていきます。研究はひとりひとりがテーマや目標を持ち制作しますが、常にアイディアをブレストして完成度の高い内容に仕上げていきます。
「企画」「デザイン」「プログラム」の3分野で構成されるゲーム制作。ゲームのコンセプトやアイディア、シナリオ、ストーリーなどを0から発想する企画者、デッサンやキャラクターデザイン、モーションデザイン、グラフィックデザインなど企画者の発想をゲームの中の世界観や主人公に落とし込んでいくデザイナー、アニメーション処理やユーザーインターフェースを組み合わせたものから、人工知能アルゴリズムを用いたものまでゲームに特化したプログラムを専門的に行うプログラマー。学生たちはそれぞれの適性に応じた分野で学び、プロフェッショナルを目指します。総じていちばん必要な人材は「人を楽しませるのが好きな人」。
ここに集まってきた皆と、未だこの世に存在しないゲームを創り出していきます。
※所属?職名等は取材時のものです。
総合芸術としてのゲームを学び、遊びの未来をクリエイトする。
デジタルゲームは様々な要素を持っています。工学、数学、美学、文学、さらに心理学や文化人類学も重要なファクター。その全てを駆使して人を夢中にさせるものを創造するためには、ゲームを学問として学ばなければなりません。「未来の遊びを創造する」をテーマに、ゲームクリエイターの教員達が世界で通用する人材を送り出しています。